最近、世界で2番目に大きい規模を誇る仮想通貨取引所「FTX」が破綻して、仮想通貨業界では大きな話題になりました。
ただ、この事件の経緯や原因についての記事は「専門用語が多かったりで読むのが難しい、、」と感じる方がいるかなと思いましたので、この記事ではざっくりどんな経緯で破綻したのか解説します。
本記事の内容
- FTX破綻の経緯
- FTX破綻から考える、今後の対策
この記事は、DL用語多めで解説してます。
※DL用語とは、バトルスタディーズに登場するDL学園の生徒がよく使う言葉のこと。
バトルスタディースを読んでいる方なら、クスッと笑える内容かなと思うので是非!
また、FTX事件について詳しく知りたい方は、下記の与沢翼さんの解説動画がかなりわかりやすかったので、合わせてどうぞ。
引用源:与沢翼 Youtubeチャンネル
FTX破綻の経緯
まずは、FTXが破綻した経緯を、DL用語多めでざっくり解説していきます。
話に登場する人物、企業、銘柄は、下記の通り。
- FTX
- FTXジャパン
- アラメダ・リサーチ(FTXの前身となる会社)
- SBF(サムバンクフリード) = FTXのCEO
- CZ(バイナンスのCEO)
- CoinDesk(海外大手仮想通貨メディア)
- FTT(FTXが発行する通貨)
では、時系列順に解説していきます。
CoinDeskがアラメダ・リサーチのバランスシートをリーク
事の発端は、CoinDeskがアラメダ・リサーチの財務状況を発表したことから。
CoinDeskがアラメダ・リサーチの財務状況を見て「おいおい、これ危なくね?」と、世間に発表したんですね。
発表時の資産状況は、下記の通り。
総資産:約146億ドル
負債:約80億ドル
この数字だけ見ると、別に問題なさそうに見えますよね。
ただ、問題があったのは総資産の内訳。
CoinDeskのリークによると、資産の内60億ドルはFTTトークン(自由に動かせる)&担保として預けているFTTトークン(ロックされている)で構成されていることが判明。
その他にも、流動性の低い仮想通貨(即金性が低い通貨)が約30億ドル、株式が約20億ドル、そして現金はわずか1.3億ドルしか保有していないことが判明し、
「アラメダ・リサーチ素でエグい。やばいやろ」
となったんですね。
かみ砕いて説明すると「実際にキャッシュをほとんど持っていないのに、見せかけの資産を元に借入れをしまくっていた」ということです。
ここからFTXに対する疑念が持たれ始めます。
FTTトークンは、ビットコインやイーサリアムと違って「FTXという真ん中に管理者がいる」中央集権型の通貨です。
この様な通貨は、中央管理者に何かがあると一気に価格が下がりやすいんでよね。
そんなリスクのある通貨が資産の大半を占めていることが、問題視されたんです。
バイナンスCEOがFTTを全売却をすることを発表
そしてその後、
世界最大の取引所「バイナンス」のCEOであるCZ氏が「FTTトークンを市場に影響がない程度にゆっくり売却する」と発表しました。
クリプト業界の中でかなりの影響力を持つCZ氏が
「FTX素でエグいから、FTTトークン売るわ。」
と発表したことから、FTTの価格は、25ドル前後で推移してた所から一気に5ドル前後まで下落。
それに続き、世界中のFTXユーザーが「ゴメス!早く引き出さな!」となり、一気にFTXから資産を引き出そうとする動きが見られました。
※ゴメス = ヤバい・最悪だという意味。
3日間でFTXから引き上げられた資産の総額は60億ドル(約8,400億円)以上と言われています。
バイナンスCEOがFTXを買収することを発表
保有しているFTTトークンが下落 & 一気にFTXから資産が引き出されたことから、FTXのCEOであるSBF(サムバンクフリード)氏はCZ氏に救済を求めました。
SBF氏は下記の様にツイートしており
1) Hey all: I have a few announcements to make.
Things have come full circle, and https://t.co/DWPOotRHcX’s first, and last, investors are the same: we have come to an agreement on a strategic transaction with Binance for https://t.co/DWPOotRHcX (pending DD etc.).
— SBF (@SBF_FTX) November 8, 2022
内容としては、
「バイナンスに協力して貰えることになりました。顧客資産の補填を優先するからよろしくい゛ぃ゛~い゛ぃ゛家康!!」
という感じです。
ここでバイナンスがFTXを買収することが発表されたので、一旦はFTTの価格が持ち直しましたが、すぐに暴落することになります。
引用源:Coin Market Cap
また、FTXの状況が続々と明るみに出始めたタイミングだったので、コインチェックやテザー社(USDT発行元)等の多くの有名クリプト企業が
「俺らはFTXに出資・関与をしてないから、安心してくれい゛ぃ゛~い゛ぃ゛家康!!」
と発表していましたね。
マネックスグループとその子会社であるコインチェック、トレードステーション、トレードステーションクリプト、マネックス証券は、FTT、FTX、Alamedaに関して、一切のポジションもエクスポージャーもありません。
— Oki Matsumoto 松本 大 (@okimatsumoto) November 8, 2022
バイナンスが買収の意向を撤回
一度は買収することを発表したバイナンスでしたが、翌日には
「負債総額とかアメリカ規制当局の捜査とか、もろもろ素でエグすぎて、買収できない。」
と発表され、FTX破綻が現実味を帯び始めました。
この段階で1日の間に50億ドルの出金申請が来たそうで、資金ショートに陥ることになります。
ここで、ついにFTXが「出金を停止」させ、多くの投資家が「ゴメス!!」な状況になりました。
FTXが破産手続きを開始
そしてとうとう、FTXが「破産手続きを開始したこと」を発表します。
破産手続きの対象は、FTXやアラメダ・リサーチを含む関連会社約130社が該当。
この130社の中には「FTX Japan」も含まれています。
FTX Japanユーザーからすると「ゴメス!俺のお金はどうなるんや!」っていう状況ですよね。
FTX Japan自体は、顧客資産を日本円・仮想通貨毎にコールドウォレットで分別管理しており、純資産は9月末で「約100億円」現預金は11月10日時点「で約196億円」保有していることを発表しています。
そうなんです。FTX Japanの方は、問題無かったんですよね。
そして、日本の法律上「顧客の資産は顧客に返される」はずなんですが、今回は特殊で、海外にある親会社のFTX本社が「FTX Japanを含めて」破産申請をしています。
FTXの負債は数兆円にものぼると言われており、FTX本社側からすれば「集められるお金は全てかき集めて、借入先に返済したい」と考えるはずですよね。
つまり、FTX Japanは「一旦資産をすべて本社に送れ(顧客資産を含む)」と言われることが、予想できます。
今回の様な国を跨いだ問題は、仮想通貨の法整備が追い付いていないことも相まって、解決までかなり時間がかかるでしょう。
現状だと、与沢翼さん含め「資産を取り戻せない可能性が高い」という意見が多いです。
鳥丸もブチギレ案件ですね。
ただ、まだ情報が出揃っていませんし、どうなるかはわかりません。
FTXユーザーはもちろんですが、そうじゃない方も、今回の件から学べることはあると思いますので、続報をチェックする様にしましょう。
FTXがハッキング被害に遭う
破産申請後に追い打ちを掛ける様に、FTXはハッキング被害に遭います。
被害額は、報道メディアによって異なるので正確な金額まではわかりませんが、約4億7700万ドル(約670億円)が盗まれたそうです。
FTXの顧問弁護士の方のツイートは、以下の通りです。
「ゴメス。広く報じられている様に、一部資産がへチられました。法執行機関や関連する規制当局と連絡を取り、早急な事実確認を進めている次第。」
2/ Among other things, we are in the process of removing trading and withdrawal functionality and moving as many digital assets as can be identified to a new cold wallet custodian. As widely reported, unauthorized access to certain assets has occurred.
— Ryne Miller (@_Ryne_Miller) November 12, 2022
とどめを刺された感がありますよね。
とりあえず、記事執筆時点で出ているFTXの破綻に関する情報を時系列順に並べると、こんなところです。
大きな負債を抱えた理由については、下記の要因が挙げられます。
- アラメダ・リサーチの損失を、FTXが独自通貨FTT&顧客資産(約100億ドル相当)を使って救済。
- 中央集権的な独自通貨「FTT」を担保にしての多くの借入
- 借り入れた通貨を担保に、さらに借入を繰り返す
これらが主な理由かなと。
アラメダ・リサーチが大きな損害を受けた原因は「LUNA」という、ステーブルコインの破綻の影響からです。
FTXは、この損害を救済する為に、独自通貨FTTを発行&顧客資産(約100億ドル相当)をアラメダ・リサーチに貸し出しました。
「自社通貨を発行して子会社を救済したこと」も大きな問題ですが、顧客資産を流用したことは、明らかに違法ですよね。
そんな状況下に、コインデスクから
「FTXグループのアラメダ・リサーチの資産状況が素でエグい」と
バイナンスCEOのCZ氏からは
「FTTトークン売りやす」
と発表されたことで、FTXへの信用不安が大きくなる→取り付け騒ぎ→破綻といった流れでした。
結果的にCZ氏がキッカケにはなりましたが、火のない所には煙は立ちませんから、FTXの破綻は仕方ありませんね。
ざっくりDL用語を使って解説しましたが、冒頭で載せた与沢翼さんの動画を見るとかなり詳細に理解できると思うので、ぜひ見てみてください。
FTXの破綻から考える今後の対策
FTX破綻の経緯についてざっくり理解できたら、そこから考える今後の対策について考えてみます。
簡単にできるのは、下記の3つです。
仮想通貨口座の分散
投資銘柄の分散 → NFTとかも
「人に貸している・取られてしまうかもしれない」という意識の元、取引していく
それぞれ解説していきます。
仮想通貨口座の分散
まず1つ目に挙げられるのが「仮想通貨口座の分散」です。
今回、FTXに保有している仮想通貨のほとんどを預けていた方は、おそらくもう出金できない可能性が高いです。
FTXユーザーの方にとっては、最悪ですよね。
今回のことから学べたことは「資産を分散させておくことの重要性」だと僕は思います。
使う取引所を分けておけば、今回の様な件が起きても最悪の事態にはならないはず。
なので、取引所の口座は複数持っておき、そして資産を分散させることをオススメします。
「複数口座を持つならどこの取引所がいいの?」という方向けに、国内でオススメの取引所を4つ程、紹介しておきます。
「コインチェック」と「ビットフライヤー」は、名前だけは聞いたことがある、という人が多い程知名度が高い取引所。
僕も初めての仮想通貨取引所はコインチェックでした。YouTubeで松田翔太がテロップに邪魔される広告は印象に残りましたよね。
あの広告で知った人は僕だけじゃないはず。
そして、記事執筆時点(2022/11/25)で上記の4つの取引所は、口座開設をしたら仮想通貨が貰えるキャンペーンが開催されています。
それぞれ、ざっくり下記の通りです。
タイミング的にも丁度良いと思うので、是非口座開設をしておきましょう。
複数持っておけば、1つが潰れても他はセーフです。
また、資産を取引所だけではなく「別のウォレット(複数)に移して分散する」ことも有効です。
簡単な対策はメタマスク等の無料ウォレットを複数用意。もっと厳重にしたい方は、オフラインで管理する「コールドウォレット」で保管することがオススメです。
とにかく「1ヶ所に資産を集中させておく」ことを無くせば、被害は最小限に済みます。
投資銘柄の分散
2つ目に挙げるのが「投資銘柄の分散」です。
今回、FTXが破綻したことで大きく価格が暴落したのは、FTXが発行した「FTT」トークンです。
事件発生前の1FTTトークンの価格 → 約3,500円
事件発生から破綻後の1FTTトークンの価格 → 約220円
投資している銘柄がFTTトークンに偏っていたら、損失は大きいですよね。
今回のことからの学びとしては「取引所などの企業が発行している通貨(中央集権的な通貨)に投資が偏りすぎること」は危ないのかなと。
さらに言うと「投資している銘柄がダメになった際に、影響が出ない銘柄に分散する」ことも大事になってきます。
ここは少しリサーチが必要で難しいのですが、FTXが破綻したことで「ソラナチェーンの基軸通貨であるSOL」も大きな影響を受けています。
ソラナはFTX主導のチェーンで、以前からFTXから多額の支援を受けていたこともあり、FTXの懸念が高まる→破綻が決まったことから、大きく価格が下がりました。
事件発生前の1SOLトークンの価格 → 約5,000円
事件発生から破綻後の1SOLトークンの価格 → 約1,800円
これは、今月だけで60%安となる程の下落具合です。
もし「FTT」と「SOL」の2つに多く投資していた方、つまり「FTX関連銘柄」に多く投資していた方はかなりの大損害です。
なので、今後は投資する銘柄は「関連性が低い銘柄に分散すること」を意識する様にしましょう。
「人に貸している・取られてしまうかもしれない」という意識の元、取引していく
3つ目に挙げるのが「人に貸している・取られてしまうかもしれないという意識の元、取引していく」です。
これは、与沢翼さんが仰っていたことをそのまま引用しています。
仮想通貨取引所に限らず銀行や、証券会社にも言えることですが「預けているお金は取られてしまう可能性がある」ことを理解した上で取引をしてください。
今回の様に、仮に「自分の資産であったとしても、お金を取られてしまう・取り返せない」ことは十分にあります。
なぜなら、預け入れ先の会社が「裏で顧客資産を使って借入・投資」などを行なっている可能性があるからです。
だから、最初に話した「取引所口座・ウォレットの分散」が重要なんです。
資産の分散管理ができていれば、1つの会社が倒産しても、自分が受けるダメージは最小限です。
まとめ
仮想通貨業界にとって大事件となった「FTX破産事件」と、そこから考える今後の対策について解説しました。
「仮想通貨業界のリーマンショック」と言われる程の事件なので、ぜひ簡単でもいいので、このトピックをマークしておきましょう。
これからまた、仮想通貨業界が冷え込むかと思いますが、裏を返せば仮想通貨の仕込み時です。
BTCなどの非中央集権的(真ん中に管理者がいない)主要銘柄は、今回の様な「真ん中の企業が倒れて価格が暴落する」というのは起こりにくいです。
ただ、今回はFTXからハッキングしたハッカーが「盗んだ通貨をETHと交換して、そのETHを売りまくっている」みたいなんですよね。
なので、ETHの価格が一時的にガクッと下がることが考えられます。
決して「非中央集権的な主要銘柄だから安全」という訳ではありませんが、少なくとも「真ん中の会社が倒れて価格が大暴落」ということはありません。
なので、やはり安定はBTCだと思います。
自分の投資銘柄を見直すキッカケにもなると思うので、今回の事例を役立てて行きましょう。
また、この記事で「バトルスタディーズおもろそう、、」となった方は、漫画王国でお得に読めるのでオススメです。
漫画王国は月額制ではありませんし、漫画を購入した金額に応じてポイント還元がされるので全巻一気読みしたい場合に最適。